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◇◇◇
地下室はコンクリートの打ちっぱなしで、レックの肌に心地よい冷たさを与える。
無遠慮に乗り込んできた相川の『不愉快な仲間たち』はひゅと小さく息を呑んでその寒さに一瞬身を縮めたが、群れなす獣同様、獲物にその気配を気取らせまいと大仰に身を弛めた。
「『世間的には存在しない人間』に躾をお願いしたいんだが」
暗い声が耳の中に忍び入る。ビデオをセットするレックの背後に、ぴったりと相川が添うた。
転た寝から醒めた頭はガキを活用することに決めたらしい。
しかし、わざわざ今、指名してくるあたりに相川の性格を感じる。
(不)愉快な仲間たちの前で、思い出したように役割を与える。
断る理由はない。相川が言うなら最終的な決定は既に出ている。だが、他の人間に任せればいいことをなぜわざわざ自分に命じたかを考えると多少億劫になる。
「そんな嫌そうな顔しなくても、躾の大半は君の思う人間にやらせるよ、君はその子どもの自尊心だけ折ればいい」
『つまりケツの穴にチンコ突っ込んでやれと』
手早くメモ帳に走り書いて、振り返らずに差し出すと、相川が覗き込むように身を屈めた。首筋に吐息がかかる。
思うや否や、その項に痺れに似た痛み。
戯れの愛撫に、レックは無反応を示す。
「相変わらず顔に似合わない言葉を遣う」
舌がねっとりと、歯形を周回する。
『間違っていましたか』
「いや、違わないよ」
シャツの上からギュッと乳首をにじられてペンを持った手がこわばった。
「今回は、『本当に』公開しなきゃいけないかもしれないからね。絶対に面が割れない人間が欲しいんだ」
少し眉を顰めて相川を見る。
抓られた乳首から快感は前立腺に響く。歪みそうになった顔を唇を結んで堪えた。
「君の人間らしい顔が俺は大好きでね」
相変わらず悪趣味な人間だと思う。
「君は自分が射精する瞬間の顔を知っているかい?」
囁かれた言葉を無視して、ビデオを覗き込む。腹の奥底で甘い疼痛が存在している。息を整えて感覚を切り離した。
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