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 子どもの目が、ビデオ越しにこちらを見ている。強烈な双眸がレックを見詰める。  手負いの獣とでもいおうか。  工作鋏で切られただろう髪はザンバラでところどころ必要以上に短くなっていた。  おそらく、もう坊主にするほかはない。  両手足を拘束され、コンクリートの床に転がされてなお、自尊心の塊のようなその眸でレックを見ていた。猿轡を噛まされた口から呻きを漏らすこともなく、ただじっと。  屈強な男が子どものワイシャツを破ると一瞬だけその目が眇められたが、鼻から息をするだけで、全く屈する様子はない。  確かに、相川の好みそうな子どもだ。  自分より縦にも横にもでかい男どもに囲まれながら、少年には物怖じするところがない。  ビデオカメラを回しながら、レックは少年を見続けた。相川に指示されてもいない人間を、観察している。同時に正体不明の『何か』を感じている自分を冷静に見つめていた。  これは既視感。  上半身を薄暗い照明にさらした少年は、視線を外そうとしない。  破られたワイシャツは両腕の拘束具のせいで彼の程よく日に焼けた肌に蟠ったままになっている。  男の舌がねっとりと少年の乳首を押しつぶす。  それも余所事のように少年は身じろぎ一つしない。  いくつもの舌が、彼の全身を舐めまわす。  耳穴を、首筋を、乳首を、臍を、腹部を。  舐めまわされながら奥歯を噛み、目を怒らせている。  男の一人がもどかしげに自分のジーンズから勃起した性器を取り出す。  少年の目の前で自らそれを扱き、すでに十分だと思っていた勃起がさらに怒張する。  別の男が少年の猿轡を外す。  「咥えろよ、神田」  神田と呼ばれた少年は口の中から涎の染みた布を吐き出すと、男の一物に目をやる。  「自分でしゃぶってろよ、変態」  瞬間、男の拳が強かに神田の顔面を打った。
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