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 安西とは村上と仲の良い数学教師だ。この二人に誘われてもいつもはにべもなく断っていた。必ずそこにはどこかから集めた女性も同席するからだ。 「…………」  だが今は家に帰る時間をできるだけ遅くしたかった。家に一人でいると僕はまた自分が嫌になるほど考えてしまうからだ。もう何年も僕は僕自身のことついて考えることから目を逸らしてきたのに。  それを今さら。  村上と飲みに行ったところで楽しめないことはわかっている。だけど僕は暗中模索する自分から逃げ出したかった。 「……いいですよ」  僕がそう返事をすると目の前の村上が目を丸くして驚いた。 「本当ですかっ!? 大島先生がっ!? 珍しいっ!」 「…………」  自分から誘っておいて何をそんなに驚くんだろうか?   僕だって酒を飲みたい日くらいあるのに。  仕事の帰りに村上と安西の二人に連れて行かれた店は、生徒の親に見られでもしたら言い訳するのが大変難しい店だった。  薄暗い店内をゆるく動くライトたちが照らしている。うるさく音楽が鳴る店の中でソファに座る男性客一人につき一人の女性が相手をしていた。  安西の膝の上には半裸の女性が乗り、上半身をくっつけて何やらヒソヒソと話している。村上などは女性を膝に乗せた状態で豊満な胸に思い切り顔を埋めていた。     
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