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握られた場所から全身へと今度はびりびりと体がそそけ立つ。僕はシーツに顔をうずめ、黒須から注がれる激しい愛を受け入れていた。
「……あぁっ……あぁっ……あぁっ………」
こんな風に抱かれたのは久しぶりで泣きそうになる。何度も何度も高也としたセックスとは全然違う。でも僕は同じようにすべてを任せ、自分の奥深くから解き放つように放出していた。
「……あっ……っ! ……」
思う存分黒須の手とシーツを汚すと、僕は疲労感で眠りそうになった。
「……先生……」
黒須が呼びかけながら僕の顔に触れるが、それに構うことなく目をつぶった。
シーツに沈む感覚を味わいながら夢も見た。
それは愛しい人が離れていく夢だった。でも夢の中の僕はそれをじっと見ていた。
僕はわかっていた。逃れられない別れは必ずある。ここで別れてもまた次の出会いが来る。そして僕はまた深く愛してしまうだろう。
でも忘れることはない。深く抉られた痛みと醜い心が痕になって残るだろう。
だけどそれでも愛せてよかったと夢の中の僕は思っていた。
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