BAMBOO WARS~サキモリ怪異交戦記録~

4/16
前へ
/16ページ
次へ
“山で猟師が消えた…” 全ては、その通報から始まった。駐在警官、自警団が捜索に向かい、みな消えた。 政府はこれを妖や霊関係の“霊障”と判断し、俺達を派遣する。 使い捨ての“先守”は文字通り“先に守る”という意味だ。本職である“防人”の連中が 動くより、俺達が先に現場に向かい、対処できそうなら、その場で解決。無理なら全滅。 いわば“適正試験”として投入されるのだ。 場所は東北地方の奥深い山間部、人口200人ほどの寒村。夏季だというのに、 やたら涼しい山の中に俺達は降下する。昼時の眩しい陽射しが木々の間から光を入れ、 進む隊員達を照らしていく。 人数は30人。アルファ、ブラヴォーの2小隊に分かれ、移動する事数十分、やがて… 逞しく、旺盛に茂った竹藪に、俺達は遭遇した。 こういった事態に幾度も遭遇し、生き残った奴等はある程度“現場慣れ”をしてくる。 その直感が、この奥に何かがあるだろうと告げていた。 戦闘隊形をとり、俺達ブラヴォ―が後衛、アルファが先に、薮へ突入する。その結果、 古い作りの家が立ち並ぶ“隠れ里”を難なく発見した。 どうみても“普通の人”が住むような集落ではない。双眼鏡で確認した住人は、 大河ドラマに出てくる、古びた着物に少し人間離れした容姿 (耳が長いモノ。目が赤いモノ、多種様々だ) 加えて言えば、消えた警官や自警団の半纏と一緒に 乾燥した赤黒い肉の塊が干されている。事は明白だ。 この後の動きは、いつも決まっている。“先に守る”を実行するのだ。 村の入口付近に迫ったアルファ小隊の女隊長、今義理(いまぎり)が合図を出す。 黒いベレー棒を被り、顔面を緑地迷彩で色濃く染めた部下達が手にした自動小銃の 先に付けたライフルグレネード(小銃榴弾)を一斉に発射する。 ロケット花火のような噴射音が響き、放たれた榴弾が家々に着弾し、大爆発と巨大な炎を 上げていく。藁や木で組まれた家屋はすぐに燃え上がり、中にいた“異形の住人達”を 外に押し出す。  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加