別れ

2/4
前へ
/730ページ
次へ
達也はしばらくこの街で身を隠し、なるべく人の目に触れないように生きていたい。 「そりゃ…確かにそうだけど。でも、私はバレる可能性は無いでしょ?だって私と達っちゃんが繋がってるなんて誰も知らないんだし」 どうしても表舞台に出たいのか…参ったなこりゃ。 「じゃあ、こうしよう。ナツは表舞台に出るならオレはナツとの生活を止めてここで1人で暮らす。それでいいと言うなら表舞台に出ればいいさ」 ナツは一瞬表情を曇らせた。 「何で?何で達っちゃんと別々に暮らさなきゃなんないの?ねぇ?もう達っちゃんも私も顔を変えたんだよ?分からないって絶対に」 だが、達也は警戒心を怠らない。いつ何があるか分からないかもしれない。その為にこの場所を選び、潜伏しているのだから。 「…あのな、ナツ。オレたちはあの弁護士を殺した。立派な殺人犯だ。それとな、オレはまだ始末するヤツが二人いるんだよ」 また殺すの?ナツは弁護士を殺害した忌まわしき出来事が脳裏に焼き付いてる。 「達っちゃん、もう止めて!もう人を殺すのなんて止めようよ…それにもしかしたら、その前に達っちゃんが殺されるかもしれないじゃん!お願いだからもう止めよう…ね?」 「なぁ、ナツ。1人殺すのも二人殺すのも大して変わらないんだよ…もう既に1人殺してるんだ、オレたちは」
/730ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加