戦慄の踵落とし

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ソンヒョクの左のジャブをかわした。だが、それはフェンイトで、同時に右足を高々と上げ、達也の頭上へと振り落とした! (…やべっ!) テコンドーの代名詞というべき、踵落としという蹴り技だ。 瞬時にかわしたが、左肩がソンヒョクの踵をかすめ、その鋭さに肩の皮膚が切れた。 カミソリでスパッと切られたかのように、肩口から血が流れた。 「小島、どうした?反撃しないのか?」 ソンヒョクの切れ長で鋭い目付きが達也の動きを封じ込めている。 この男、タダ者じゃない、格闘技経験者だが、試合で使うような技ではない… (…コイツ、これで人を殺した事あるんじゃねぇのか?) 達也はビビっていた。この雰囲気に殺られる! ソンヒョクは左右の変幻自在な蹴りで達也を攻め立てた。 辛うじてガードしているが、腕の骨が折れるんじゃないか、という威力のある蹴りの前ではこれ以上ガード出来ない。 (…恐い、恐いよ…)
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