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「こちらビーチハイム7!ビーチコスパ7、あれ?コールサイン違うな?とにかく
“軍曹”さんからって事でよろしくだ。HQ(本部)に連絡。ヘリだ!
救援ヘリをよこしてくれ。」
“銃弾”以外の攻撃で傷ついた、穴だらけの通信機をどうにか動かし、
俺こと軍曹は通信端末にがなり立てる。
「こちらは現在、交戦中。やべぇ敵がきやがった。原住民とか反政府ゲリラじゃぁ、
断じてねぇ!俺達、俺達の敵は…」
熱帯特有の樹木達が激しい光と共に薙ぎ払われた。味方の兵士達が悲鳴を上げ、問題の敵が
目の前に降下してくる。ちんまい体にフリフリのスカートを翻し、握りしめた手には
星型マークをのっけたステッキ。そう、俺達の敵は
「魔法少女だぁぁぁっ!!」
ニッコリ笑顔の彼女が、こちらに向けたステッキを光らし、強力な光球を放つ。激しい爆発が上がり、俺達はよく漫画とかで“お空に吹き飛ぶ悪役みたいな感じ”で、
リアルに空中へ跳ね飛んだ…
多分、10メートルくらい空を飛び、数秒の浮遊を味わい落下した俺は、全身の痛みと
共に、こうなった出来事を回想する。
全ては、この“マ・ドワーナ半島”という未開地域に俺達、PMC(民間軍事会社)と
PKF(国連平和維持軍)が調査に向かった所から始まった。
宇宙の衛星から、地球の隅々まで、自由に見る事の出来る昨今、
発見されなかったのは不思議なくらいだが、南海にポツンと浮かぶ群島に対し、
世界中が注目していく。
ただ、付近で漁をやっている者に言わせると、この島は“魔女の住む島”とか
言われているらしく、誰も近寄りたがらない。そこで俺達が派遣された。
民間軍事なんて、クリーンなイメージかつ聞こえはいいが、所詮は傭兵。使い捨ての存在だ。
汚れ仕事を請け負う連中、つまり俺達みたいな輩は、大抵“先行偵察”として
送り込まれるのが常だ。
国連連中の用意したヘリに乗り込んだ60名が先に上陸し、島の状況を見る。
事と次第によっては支援を要請し、国連直下の大部隊が到着するお膳立てが出来ていく。
先頭を行かされる俺は、代わりに“一つの条件”を出した。最良の戦友達の同行である。
そして願いは叶った。
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