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冷たい雨に打たれて
智流は走り出した。
志水と姉がいる家から少しでも離れたくて。
走る智流の顔に雨粒が当たった。雨粒は次から次へと降り注ぎ、あっという間にどしゃぶりとなる。
智流は雨に濡れながらも走り続けた。
やがて走り疲れた智流は、自宅から二十分くらいのところにある公園へとたどり着いた。
そこは小さな公園で、滑り台とブランコぐらいしか遊具はないが、天気のいい日には、幼子を連れた母親たちが世間話に興じ、お年寄りが日向ぼっこに集う。
雨宿りをするような場所はないので、強い雨が降る今、公園には智流以外、誰もいない。
もう少し歩けばコンビニがあるが、既にぬれねずみの智流は、そのままベンチへ座った。
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