きっかけの合コン

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 その日、志水三起也(しみずみきや)は、友人の小野和夫(おのかずお)から合コンの誘いを受けた。 「なー、頼むよー。志水ー。おまえが来るとなると、女の子の参加数が一気に増えるんだよー」 「やだよ。忙しいし。遠慮しとく」  志水はあっさりと小野の懇願をはねのける。もともと合コンには興味がない。  だが、小野はしつこく食い下がってくる。 「でも、今日の相手は弥都女だからレベル高いぞ」  弥都女子短期大学、通称弥都女は、有名なお嬢様校で美人が多いと評判でもある。  それでも志水の気持ちは動かなかった。 「だからマジ忙しいんだって。バイト探さなきゃいけないし」 「そんな、志水、冷たいことを。な、合コンの金は払わなくてもいいからさー、頼むよー」  小野は手を合わせてお願いする。  その友人の必死な姿に、志水は折れた……わけではなく、合コンの金を払わなくてもいいというところに引かれたのだ。  ……一食分、浮くな。  そんなあさましい計算が志水の頭の中でなされた結果、彼は居酒屋で行われている弥都女との合コンの席に座っていた。
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