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小生、ピジョ……チキる。
鳩。
鳩とは、ハト目・ハト科に属する鳥類の総称である。体に比べて頭が小さく、胸骨、胸筋が発達してずんぐりとした体型が特徴である。
いけ好かない仲間がいると他の仲間と結託し、イジメどころか致命傷、死に至らしめる狂暴性を持ちながら、旧約聖書や、人と共生する性質から平和の象徴と目される鳥、鳩。
飛翔距離や帰巣本能の強さから伝書に用いられ、戦時、文書から血清、薬品など、持って飛ぶことが可能ならば何でも運ばされ、途中疲れはて、命潰えたもの、猛禽の餌食となり、その血肉となったもの、結果伝書鳩としての成功率は1割程度という鳥、鳩。
殊、この国における鳩は都会に住み、天敵と目されるものが少ないために繁殖し人間との共生を成功させた。そのお陰で今は平和の象徴ともされている。平和と言えば鳩、鳩と言えば平和といった認識が蔓延っているのも確かであろう。
小生、その鳩相手にチキる。
元来、鳥に対して嫌悪感やら恐怖やらあまつさえ黄色い悲鳴やらあげるような人間ではない。女子中高生ならかわいいとも言われようが、すでに三十路を迎えた男が鳩相手に
「きゃー!」
等と声を上げようものなら周囲から嫌悪と鳥肌のスタンディングオベーションを受けるに相違ない。して、小生、外回りの多い仕事をしている。基本的に移動は社用車である。
広い車道を悠然と走る軽(狭い)。
目の前を横切る鳩。
目の前を横切……らない!!!
車道を平然と歩く。
一直線に歩く!!
あのギコギコした頭の運動そのままに歩く!!
後ろから軽(狭い)が迫っていることもしらずに……!!
いや!気がついていやがる!あいつ!今後ろ振り返りやがった!振り返ったくせに無視だ!無視していやがる!人間様をおちょくりやがって!!
ここで、小生の胸に人間の自己本位が大きく膨らむ。
………轢いてしまえ……轢いてしまえば通れるではないか………。
殺気を気取ったのか、振り返る鳩。
歩調に合わせて揺れる頭……。
飛び立つまで、時速10キロ以下で走行した小生は生類憐れみの令でも食らった気分である。
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