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さっきまで身体に力が入らなかったのが、少しだけ力が戻ってきた俺は、なんとかその手を避けようとするけれど、彼を押し返すほどには、まだ戻っていなかった。
俺の両腕は、将の片手で抑え込まれ、口の中にも突っ込まれてしまった。
「うううっ!」
必死に抵抗しても押し返せないことが悔しくて、目に涙が溜まってくる。
「くそっ、もう、効き目が切れてきたのか。仕方ない、縛り上げるか」
将は、すでに準備してきていたのか、布団の脇に置いてあった紐のようなものに手を伸ばそうとしたその時、まるで雷鳴のように轟くような声が響いた。
『我の花嫁に手を出す愚か者めっ!』
ドーン!っという近くで雷が落ちたような衝撃音とともに、部屋の中が真っ白な光に包まれた。
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