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この神社は、正確には、親父の従兄が宮司を務めていて、俺より二歳年上のはとこが跡を継ぐために、神職の勉強をするために大学に行った、という話を聞いていた。
「おじさんたちは?」
おばさんは、俺の声が聞こえなかったのか返事もせずに、台所で何やら準備をしているようだった。
久しぶりに来たこの家は、やっぱり相変わらず、居心地が悪い。遺影のこともあるけれど、どうもこの家の空気が馴染めない。それは、この家の人間にも言えたことで。
「あ、もしかして、あずさくんか?」
俺の背後の廊下から声をかけてきたのは、真っ白な神職の格好をしたおじさんだった。
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