カラス―1

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 答えず、飲み口に(どこから持ってきたのか)ストローを挿して、一口。ペストマスクが邪魔くさい。 「さあ……。ワタシがどう見えるかなんてアナタ次第ですよ」 「名前は?」 「必要ありません。こんな存在を具現化して何になります?」  相手は両手を広げてみせた。  私はチューハイをぐびぐびと飲んだ。熱い、ライムが喉を通ってゆく。  そうむきになった私の耳元で、囁くようにこう告げたのだ。 「思い出したのでしょう?」  と。
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