0人が本棚に入れています
本棚に追加
世界幻想生物サミットのころ
気が付くと、京都駅の前だった。気温は高く、日差しは強い。これはいかにも京都の夏だった。相変わらずバスに乗る観光客で混雑している。
隣を見ると、蚊鳴屋がいた。彼も峯田を見ていて、二人でうん、と頷いた。
「いつだろう、ここは」
蚊鳴屋がつぶやいてあたりを見回す。今、とは決定的に違う。例えば向こうに見える抹茶スイーツのお店は、今もうなくなって別の店に変わっている。つまりここは確実に過去だ。けど、あのお店がいつまであったかは思い出せない。それが思い出せても、あの店も何年かはあそこにあったはずだ。その間から推測するのは難しい。それよりは、どこかでカレンダーや新聞を探した方が早いだろう。
道に飛んできた新聞でその日の日付を知るというタイムトラベルもののSF映画のシーンを思い出した。
「サンタさんはどこかな」
『本当の時代』で、同じ時刻に合わせて飛んだはずだ。きちんと時差も合わせて。しかし、いったいどれだけ正確に同じ場所に着けるのかはわからない。
「大変だあああ!!!」
それは聞き覚えのある声だった。というかサンタの声だった。
「急がなくちゃ、急がなくっちゃ」
最初のコメントを投稿しよう!