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ここで待ち合わせだと決めていたのに。
サンタを追った方がいい気がしてきた。が、もうどこに行ったのかわからない。
そういえば、携帯は通じるのだろうか。
峯田がポケットに入れていたスマホを取り出す。
「あ、日付が変わってる……」
カレンダーのアプリを確認すると、彼らの時代からちょうど五年前の九月だった。
「俺もだ」
蚊鳴屋もスマホを見ている。ぴろん、と携帯が鳴った。峯田からはまむしのLINEスタンプが来た。
「普通に使えるみたい」
「それはよかった」
「でも、ぼくのスマホ、五年前には出てなかったはずの機種なんだけど……」
「そのへんはそんなに厳密ではないんだろうな。浮葉さんの夢の中だし」
「峯田さん、蚊鳴屋さん!」
聞き覚えのある声に振り返れば、それはサンタクロースだった。Tシャツにジーンズの私服である。
「あれ?」
二人は顔を見合わせた。さっきと服装が違う。
「さっきサンタさんに会ったけど……あれはもしかして、この時代のサンタさん、かな?」
「え、俺ですか」
「いま、五年前の九月みたい」
「九月、で俺が京都に……。もしかして、幻想生物サミットの年?」
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