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サンタも後ろのポケットからスマホを取り出して、日付を確認して、そうだ、と呟いた。峯田がさっき見かけたサンタの様子を説明すると、サンタは赤面して顔を覆った。
「ああ、それは……。俺、実家に顔を出すために先に日本に来ていたんですが、そのあとで関空まで他のサンタたちを迎えに行くことになっていて……。でも、それを忘れていて慌てて迎えに行っている図、な気がします……」
「でも、なんでそれを浮葉が追ってたんだろ」
「浮葉が?」
峯田が浮葉が追いかけていたことを説明した。ただ、浮葉はサンタの名前をまだ知らないようだった。
「いや、それは俺は……知らないですね。そのときはまだ受付もしてないはずだし。そのあと、大阪まで行ったんですが、結局すれ違いになっちゃって……」
「ふうん、でも、たぶん浮葉はサンタさんに用事があったんだね。もしかしたらサミットの参加者だってことに気づいてて。浮葉は運営委員だったからそういうこともあるのかな」
サンタは複雑な気持ちになった。サンタが初めて会ったときの前に、浮葉だけが自分を知っていた期間があったと思うと、それがほんの少しだったとしても不思議な気持ちになる。
「まあ、サンタさんと無事に合流できたし、とりあえず放っておけばいいのかな、あの浮葉とサンタさんは……」
峯田が蚊鳴屋を見た。彼は先ほどから会話に入らず、何か考え込んでいる。
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