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サンタ イン ワンダーランド
何の成果も得られないまま、彼らはとりあえず浮葉の家に帰ってきた。
サンタが先頭で、自室の鍵を開け、扉を引く。そのまま進むと思ったが、彼は立ち止まってしまった。
「どうしたの?」
後ろにいた峯田が声をかけて彼の背中からひょいっと玄関を覗く。
「知らない靴が」
サンタが小声で伝える。そこには、浮葉のものでもサンタのものでもない男物の革靴が揃えて置いてあった。浜麦もその後ろから顔を出した。
「泥棒?」
「泥棒は靴を脱がないですよ、サンタと一緒で」
「サンタもなんだ」
しかし、家に知らない誰かがいることがほぼ確定している以上、そのまま入るのもためらわれ、もじもじしていたらリビングからひとが顔を出した。
背の高いおとこだった。浮葉によく似ている。グレーのスーツを一分の隙もなく着こなして、冷たい目をしている。
「どちらさま?」
冷たい声で言われて、サンタはひるんだ。
「……ああ、あなたが……三田さん、でしたっけ、ここに居候しているっていう」
「あ、はい」
「楓さん」
後ろから声をかけたのは蚊鳴屋だ。峯田とサンタの間を縫って先頭に立つ。
「ご無沙汰しています。あの、これは」
「蚊鳴屋か。……入って、事情を説明しなさい」
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