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「おまえがついていながら、どうして……」
そのとき、がたん、と音がして寝室の扉が開いた。誰もがもしかして、と思ったが、起き抜けの顔をした浮葉が顔を出した。寝ていたはずなのに、目の下は血行が悪くひげが生えている。髪も櫛が通っておらず重そうに見える。
「騒がしいな」
数日前に、サンタが適当に着せた服なので、彼らしくなく気だるげ。着ているものだけではなく、数日ぶりに起きたのだから仕方がないのかもしれない。というか、
「起きたの!? ていうか起きれたの!?」
誰もがぽかんとしているので、峯田が代表で声をかけた。
「……何がだ?」
浮葉も状況を飲み込めていないようだった。が、見回して楓が場の空気を支配していることはわかった。
「何故兄さんがいる?」
楓は浮葉をじっと見ると、黙って立ち上がった。
「……起きたのならいい」
ややそっけなく、楓は傍らに置いてあるかばんを持つと部屋を出て行ってしまった。
嵐のような出来事に、一同黙る。
「いや~~~、浮葉が起きてよかったね…………」
峯田がやや元気なく言う。言うかどうか迷うような素振りを見せて、
「いや、全然解決してないでしょ!」
と言って立ち当たった。
「あなた、誰?」
浮葉を見る。
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