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申し訳なさそうに顔を伏せる浮葉に、蚊鳴屋は少しよそよそしい。
一同は沈黙した。結局何も解決になっていないし、とにかく疲れていた。
「とりあえず……ごはん食べようよ。浮葉もお腹すいてるって言ってるし……。そうだ、ピザだ! ピザを頼もう!」
そうだな、と蚊鳴屋が同意した。今は冷凍食品をレンジに入れるのさえ面倒だ。たとえ宅配ピザのほうが時間がかかるとしても。峯田がスマホを取り出し、ピザハットアプリを立ち上げる。
「麦は何がいい?」
「あぶらあげ入ってるやつならなんでもいいです」
「そんなのないよー。照り焼きチキンでいいよね。そんで、……浮葉、というか、神様? 何て呼べばいいのかな」
「浮葉で良い」
「ふうん、まあ……浮葉は何がいい?」
「何があるんだ?」
浮葉がテーブルにつき、スマホを覗き込む。そのしぐさは、サンタの知っている浮葉と変わらない。
「ああ食欲をそそるな。俺もなんでもいい」
「浮葉なら、このベーコンとツナとトマトのやつがおいしく食べられると思うよ。あと肉、肉が山盛りのやつにしよう! あとエビがたくさん乗ってるやつ」
「好きにしてくれ」
蚊鳴屋が言い、財布を投げた。
「領収証は上でいい」
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