サンタ イン ワンダーランド

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「たしか、ここの住所も登録してたはず。……あ、あった。ポテトも頼もう! ビールも。あんまりたくさん飲むと寝ちゃいそうだから、一本ずつでいいか……。コーラはペットボトルでいいよね」  そう言って峯田は手早く注文を済ませた。ピザが届くまでの間、彼らは思い思いにだらけていた。他人の家だと借りてきたように行儀がよくなる浜麦もソファによりかかってうつむいている。  浮葉が立ち上がって水を飲もうとして、ウォーターサーバーの水を入れるのに苦戦していたのでサンタが助けてやった。浮葉が「ありがとう」と言ってサンタに微笑む。たぶん、神様は知っているのだろう、浮葉とサンタの関係を。サンタが何も言わないので、どういう顔をすればいいのかわからない。  ゆっくりと日が沈んでいく。あまり天気がよくないので、部屋は薄暗くなってしまったが、誰も電気をつけようとしない。浮葉がシャワーをあびている音だけが響いている。峯田はソファーの上でほとんど眠りかけている。  夕食のピークの直前だったのか、ほどなくピザが届いた。チャイムが鳴ると、峯田が飛び起きてインターフォンを取った。  それをきっかけに、蚊鳴屋も立ち上がって、部屋の電気をつける。浜麦も慌てて、サンタに許可を取ってフォークや取り皿を用意しはじめた。  浮葉が、まだ髪が乾ききっていない状態でリビングに戻ってきた。ひげは剃り、すっかり身支度を整えている。     
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