第二話 それぞれの休日

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 初めて見る五十嵐の姿に周りの女たちも不安げに見上げる。女たちは誰一人として圭吾がこの女性に惚れたとは思わなかった。五十嵐が本気にする相手などいるはずない。そう決めつけていた。  女性も困ったように五十嵐を見上げる。だが、一向に五十嵐から何かが発せられる気配はない。女性は気に触っただろうかと思い、周りの女の一人にブレスレットを渡した。 「では、私は急ぎますのでこれで」  女性が逃げるように去る。女性はあっという間に人混みに紛れ、五十嵐の視界から消えてしまった。 「圭吾様、これ……」 「……れよ……」 「えっ?」 「散れっつってんだよこのブスどもが!!」 「ちょっ、急になんなのよ!」 「二度とオレに近寄んじゃねぇよブス!」 「なにそれ! 酷いわ! もう知らない!」  女たちは次々と腹を立てその場を去っていく。女たちが今まで五十嵐に肯定されたことは一度たりともなかった。だがそれと同じく、否定されたこともなかった。これが五十嵐からの初めての否定であった。  そして、五十嵐にとっての初恋である。
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