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三章 砂を掴む
アーディの夢は不可解なものが多い。
炎、水、白銀の子犬、体の長い水龍。
とれらは、断片の映像で流れゆく。取り留めのない、繋がりがわからないものばかり。
たったひとつだけ、覚えているのは兄の存在。兄がアーディにいたという記憶だけが残っていた。
何かを探さないといけないはずなのに、それが思い出せない。
そのために、何があっても生き延びること。
すべての夢と記憶は砂のようにこぼれ落ち、かき集めようとしても消えてしまう。残ったのは兄の『生きろ』という言葉だけだった。
生き続けなければいけない。
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