一章 畑にマンドラゴラ

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一章 畑にマンドラゴラ

 何度もアーディから聞いたことのある言葉『争いを避ける』『生き延びる』『死んだら意味がない』は、根拠は聞いたことないけど絶対譲ることはなかった。  勇者として、魔王を討伐する前もした後も。  彼は元勇者として生贄に出されたもの。あの時のパーティはこの国を支える中心になっている。  アーディと出逢ったのは、討伐出立の時だ。  討伐とは名ばかり。人の国で異端者とされたものを消すためにやっていたこと。アーディはよそ者として嫌悪された。  討伐を終えたあと彼は、かなり一人苦しんでいた。倒したくなかったと。  城に戻ったパーティを見た王は、動揺していた。そうだろう、処分したかった者が叶わないはずの魔王を倒してしまったのだから。おそらく王の中で私たちに対する畏怖の念は計り知れないものが沸き上がったことだろう。  とてもいい気味だったわ、とミュラは感じた。
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