3人が本棚に入れています
本棚に追加
「アーディ、これは呪いでもなんでもない。その剣の性質だ」
「そうか。このうるさいお喋りもそういうことか?」
「あぁ、そういうことだ。諦めろ」
美しい彼女は目に合わず男っぽい話し方をする。
「それが呪いの類のものならば、喜んで私がもらうが――しかし、それはうるさくて嫌だ」
呪い関係を専門にする彼女がそう言うのなら、このお喋りは剣の性質なのだろう。
「確か湖の周りに精霊たちがいたな。なあキアラ、精霊たちにちょっと真意を確かめてくれないか?」
キアラと呼ばれたエルフは嫌そうに眉を潜める。
「もの凄く嫌だ」
「……さっき落ちていた指輪に纏わりつかれているんだけど、それやるからどうだ?」
「んん?」
アーディの足元にくっついていたシルバーの指輪を摘み、キアラの目の前にそれをちらつかせた。
キアラの目付きが瞬時に変わる。
「わかった精霊に話を聞いてくる。その前にそれをくれ」
呪い関係の専門家。本当は呪われた物の収集家。それが原因で普通の人はキアラを奇異な目で見る。
嬉々として精霊のほうへ走っていく彼女を見送った。
***
最初のコメントを投稿しよう!