第1章 誕生~幼稚園

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私は、生まれる前からアンラッキーだったのかもしれない。 父の両親は、妊娠中の母に度を超えた嫌がらせをして流産まで追い込んだ。 父も父で、酒飲んで朝帰りは当たり前。 家に帰ってくる日なんてほとんどない。 妊婦に毎日迎えに来させて、お金は使うだけ使って嫁が嫌がらせにあっても一切無視。 妊婦がいる家を集会所として毎晩深夜まで騒いじゃう始末。 終いには嫁より自分の母親守っちゃうとんだマザコン野郎だった。 そんな両親に私は〝穂歌〟と名付けられた。 稲穂のように元気に、歌に出てくるような、素敵な人生をと言う願いを込めて…。 そんなある時だった。 大のホラー好きの母が見ていた映画のセリフ。 「美咲やめて。お願い。やめてえええええ。」 その時、うちの母はこう思った。 (美咲って名前めっちゃよくね?) 母は冗談のつもりでお腹をさすり、 「みさきー。早く出ておいでー。」 と言った。 母に1ヶ月も早い陣痛が来たのは、この直後だった。
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