1人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、生まれる前からアンラッキーだったのかもしれない。
父の両親は、妊娠中の母に度を超えた嫌がらせをして流産まで追い込んだ。
父も父で、酒飲んで朝帰りは当たり前。
家に帰ってくる日なんてほとんどない。
妊婦に毎日迎えに来させて、お金は使うだけ使って嫁が嫌がらせにあっても一切無視。
妊婦がいる家を集会所として毎晩深夜まで騒いじゃう始末。
終いには嫁より自分の母親守っちゃうとんだマザコン野郎だった。
そんな両親に私は〝穂歌〟と名付けられた。
稲穂のように元気に、歌に出てくるような、素敵な人生をと言う願いを込めて…。
そんなある時だった。
大のホラー好きの母が見ていた映画のセリフ。
「美咲やめて。お願い。やめてえええええ。」
その時、うちの母はこう思った。
(美咲って名前めっちゃよくね?)
母は冗談のつもりでお腹をさすり、
「みさきー。早く出ておいでー。」
と言った。
母に1ヶ月も早い陣痛が来たのは、この直後だった。
最初のコメントを投稿しよう!