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汚れた僕
白いシーツの上で微睡んでいると、
彼の細い指が、
背中でゆっくりと曲線を描いて戯れていた。
爪で掻くたびに、ゾワゾワと甘い疼きが走り
背を震わす。
「僕、今度ね、週刊誌のるから。」
唐突に、そんな言葉が降ってきた。
驚いて躰を起こしながら彼の顔を見上げた。
「えっ?今何て言った?」
彼はいつもと変わらない、
少しはにかむような仕草でこめかみを掻きながら
クシャリと顔いっぱいに微笑った。
可愛い。
この笑顔を見るたびに、いつも思う。
私の母性本能が完全に持っていかれる。
キシッとベットを軋ませながら脇に腰掛け、
一度下を向いた。
何故か瞳は虚ろで、ただ床を見つめていた。
それから、何かを振り切るような顔をして、
切なそうに光らせた瞳が、私を見つめた。
「僕、汚いんだ」
喉を震わせたように揺れる低い声が落ちた。
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