汚れた僕

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唐突に何を言い出したのだろう? いつも理路整然に話す彼にしては、話題の変え方が突飛だった。 「汚いって何が?って、 その前に週刊誌に載るって、どういうこと?」 「質問攻めだな…」 ちょっと嬉しそうに笑ったが、 こっちはそれどころじゃない。 早く説明して欲しくて、じれったい。 週刊誌に載るなんて、私たちの業界では、今後の俳優生命に影響する大事なことだ。 場合によっては、 しばらくドラマや映画の話は回ってこないばかりか、CMなどの契約の関係で、莫大な賠償金を背をわせられることだってあるのだから。 今ノリにノッている、彼のことだから、 週刊誌の記者が何人も張っていても おかしくはないけど… あっ、もしかして… 頭の先から足の指先まで、 サーッと血の気が引いていくのが分かった。 「えっ…もしかして、私たちのこと?」 終わった…と、思った。
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