汚れた僕

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指先が痺れ始め、 背筋からそろりと冷気が這い上がり、 顕になった肌の産毛を逆立てていく。 急に喉に渇きを感じ、 声を出すことができなくなった。 動揺して、 小刻みに震えている指を唇にかけたとき、 「ううん、違うよ。  別の娘と、撮られちゃった。」 そう言うなり、温かい手が腰に回され引き寄せられ、いつも睦み合う時みたいに柔らかく抱きしめられた。 言葉の意味と、行動が不一致で、 もう、理解不能だった… 彼の体温と、 無駄のない鍛え上げられた筋肉の硬さを感じて、 躰の奥底は熱を孕んで啼いているのに、 心の中には冷たい氷の棘が刺さり、 私の心を貫き血が流れ滴っていた… どういう、こと?
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