13人が本棚に入れています
本棚に追加
リビングのインターホンが家中に鳴り響いている。
しかし、俺は起きるのがダルいという高校生らしからぬ理由で、無視していた。
だが、無視を続ければ続けるほど、インターホンの鳴る感覚が徐々に短くなっていく。
一分後
無視を続けた結果、インターホンがぶっ壊れるのではないかという速度で、押されまくっているのでやむを得ず出ることにした。
「はーい、朝早くからどうしました」
「あの、もうお昼前になります、朝ではないです」
「ご忠告ありがとうございます、それでは」
俺は面倒という理由でスパッと切ろうとした。
が、そう甘くはなかった。
「ま、待ってください」
訪問者お馴染みの待ってください作戦。
ま、話が長くなるならこちらから聞こうと先手必勝とは言わないが用件を聞くことにした。
「それで何用ですか?」
「私、天乃(あまの)ゆずと申します。黒谷和司(くろやかずし)様にご報告がございます。」
俺の直感では家にあがらせると面倒だと察した。
「インターホン越しで構わないのでそのご報告とやらだけして帰っていただけますか」
「却下します!!」
その言葉と同時に玄関の鍵が開く音がした。
俺は咄嗟にインターホンの指を外し恐る恐るリビングから玄関を覗くと、玄関が開くのが見えた。
俺はリビングのドアを閉めリビングにあるありったけの家具をドアの前に積んだ。
「黒谷和司様!お話を聞いて貰います!」
しかし、訪問者はそのドアを難なくはね開けた。
「さぁ、とりあえず座って話しましょう」
笑顔で言いつつも、右手の握り拳を見れば内心どう思ってるかなんてあからさまだった。
「あの…何者ですか?」
「だから、天乃ゆずです」
俺は玄関を開けれた事、俺の名前を知っていた事を不審に思い訪問者に質問をした。
「とりあえず、訪問者さんに聞きたいことがいくつかあるんですが」
「どうぞ、私の話は逃げませんから、それと訪問者さんはやめて下さい、ゆずでいいです」
「では、ゆずさん、なぜ俺の名前を知ってるんですか?」
「昔、貴方のお父様に教えて貰ったからです!」
「じゃあ、鍵は?」
「昔、貴方のお父様に頂きました!」
この人、親父とどういう…待て、俺の名前も役所で調べれば分かるし家の鍵も作れなくない。警察に…。
「思考中のところすみませんがハッキリ言うと。私は貴方のお父様に頼まれて貴方を異世界に連れていこうと思ってます!」
「へ?」
最初のコメントを投稿しよう!