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「……何が言いたいの、鈴木?」
一旦、口を噤む鈴木くんに、私とりっちゃんが遠慮なく尋ねていく。すると、何とも言えない微妙な間を空けながら、言葉を返して来る。
「あー……。篠原姉が佐々木の育ての親だと言いたいのかと」
「育ての親!? ……あー、まぁ。ある意味、正しいかな。その理解」
「そうね、鈴木にしてはよく理解してると思ったわ」
「え!? それでいいのかよ! そこ、ツッコミ入れるところじゃないの!?」
「……まさか。鈴木は、これくらいで怒られると思ったの? 甘いわね、私たちの絆はそんな生っちょろいものじゃないのよねー」
「篠原姉、相変わらずだねえ……」
「お褒めに預かり、光栄ですわ」
アホなこと言いつつ、バカなこと言いつつ、移動する廊下はとても楽しい。
ましてや、大好きなりっちゃんが隣にいるのだ。これが、楽しくなければいつが楽しいと言えるだろう。
三人だけで話していたはずが、いつの間にか前後のクラスメイトも交えて、大所帯での会話に発展していく。先生に注意されないようなボリュームではしゃぐことを最重要課題にしているためか、みんなのテンションが妙な高ぶりを見せている。そんな様子を間近で見つつ、ふと現実に引き戻されてしまうと頭に過ぎる思いがある。
「リナ? ボーッとしてる?」
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