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「ハル、起きてるか?」
「…………」
相変わらず、低血圧な俺ら以上にハルは朝に弱い。現に、今も既に三十分以上掛けて学校に到着した訳なのだが……。未だ、ハルは夢の住人のままのようだ。
さて、どうしようかと悩んでいると、同じクラスの同じクラスの三条結衣(さんじょう・ゆい)が、軽い口調でナチュラルに会話に入ってくる。
「あははは、ハル。今朝も意識だけトリップしてるの?」
「あー、そうみたい。ってか、三条。お前、少しはしおらしく笑えないのか?」
三条はサバサバとしたボーイッシュな女子として、男女問わず慕われている。三条がボーイッシュな女子として認識されている理由は、ガサツとも取れる口調もさることながら、ショートカットで長身のモデル体系、加えてハルに次ぐ好成績を修める頭脳を持ち、女子バレー部のキャプテンを任されるほどのリーダーシップと運動神経を兼ね備えた、まさに無敵性のためと言えるだろう。
それ故、三条には味方が山のようにいる。つまりは、三条を敵に回すと厄介ということだ。だからこそ、三条にきな臭さを感じたところで、表立って敵意をむき出しにすることはなかった。
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