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「相変わらず、カオルは厳しいねえー」
「そうだねー。国宝級の愛くるしい女の子を間近で見てきたからねえ、やっぱりどうしてもジャッジ厳し目になりがちかなー?」
とはいえ、出来る限りの牽制はし続けていた。三条を敵に回すのも厄介だ。だが三条に好かれることは、それ以上に嫌な予感しかしないのだから……。
「あははは、カオル。本当に正直ねえー」
「うん。俺、こう見えて正直者のいい奴なの」
双子の姉が同じ学校にいるため、男女問わず俺のことを『カオル』と呼ぶ奴は多い。それは昔からあったことで、今に始まったことではない。だが、三条が呼ぶ『カオル』のフレーズが妙に粘っこく感じて、何だかむず痒くて落ち着かない。
人はそれを生理的嫌悪感というフレーズで終了するのだろうか。それとも、第六感が察知した危険として処理して、先手を打つための行動を開始するのだろうか。そんなことを思いつつ、ギリギリのラインで三条と駆け引きを繰り返す。
思い過ごしなら、それでいい。でも、思い過ごしでなかったならば……。
「ま、いいわ。私、ハルはそのままトリップしててくれた方が好都合な訳だし」
「?」
「もしかして、お二人さんとも忘れてる? 一限目の小テスト……」
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