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「……ああああああ! てか、ハル。お前、起きろ!!」
「んー……」
「可愛く返事してもダメー! しっかり起きろ!」
相も変わらず、夢現なハルをゆさゆさと揺らしている俺に向かって、半ばため息混じりの声で三条は牽制してくる。その声色は、ギスギスとした刺々しいもので、いつものサバサバした口調を通り越した毒々しさを嫌が応にも痛感させられる。
「そこまで、手取り足取りしなくても……。というか、カオルも私と同じ側だと思ってたんだけどなー」
いつもなら絶対に触れない戯言を耳にして、思わず口元が歪んでくる。スルー一択が正解なのは分かっているが、それでも思わず口にしてしまう思いがあった。
「……ったく、お前の目は節穴かよ」
敢えて、聞こえないふりして体良く扱うべき内容に噛み付くほど、滑稽なことはないだろう。それでも、無性に三条に反抗したくてたまらなかった。
「ハルが全力でやってくれることに意味があるんだろーが。ってか、相手が全力で向き合うことを喜べない時点で、三条。お前の伸びしろなんて、そこまでだよ」
「……なっ!?」
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