13人が本棚に入れています
本棚に追加
俺がクラスで片手の成績を修めているからと言って、首位を欲してると勝手に認定しないでくれ。俺は別に、本当に順番なんて心底どうでもいい。
とはいえ、全くもって自分自身の順位は気にならないが、ハルの首位防衛記録は気になっている。毎日、コツコツと作業することを厭わないハルが、ずっとその成果を出し続ける姿を見届けるのは、いっそのこと気持ちが良いものだ。
ハルの日頃の努力の積み重ねを知っているからこそ、その努力の成果を発揮する機会に最大限の実力を発揮してほしいと願うのは、当然の感情だと思っている。だからこそ、ハルが全力でやってくれることに意味があると信じている訳で……。
「ってか、お前」
「へ?」
言葉に詰まっていた三条には既に攻撃力は消えている。俺的には、もう語ることもない。無駄に厄介ごとを持ち込む存在でなければ、どうだっていい。そう思っていたはずなのに……。気付けば、声を掛けていた。
「絶対に行き詰まるぞ、それ」
別に、そこまで三条に忠告してやる義理はない。それでも、何故か伝えておくべきだと瞬時に感じた。
「…………」
俺の言葉に、他人を動かせるような力があると過信してはいない。それでも、相手を素直に認められない三条の痛々しさが目について、放って置けなかった。
最初のコメントを投稿しよう!