愛を叫ぶことに際限は存在しないらしい * side Haruhiko Sakai.

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 俺が、スッとカオルの傍から離れようとした瞬間。ようやく俺が言っていた言葉の意味を把握したらしく、カオルが俺に突っかかってくる。 「ハル、ちょっと待て。あれ、どういう意味? てか、ハルはどっちが好きな訳? まさか」 「はい、ちょっと黙ろうかね。カオルくん!」  矢継ぎ早に質問してくるカオルの口を片手で塞ぎ、俺はにこやかにカオルに述べる。あくまでもにこやかに。にこやかに、にこやかに。 「姫君の意向を一番大事にする俺のことだよ? そう考えれば、答えなんて簡単に出たでしょ? ということで、この話はもうお終い!」 「ちょっ……! ハル、そんなことで分かる訳!!」 「俺は、さ。カオルの人の気持ちを汲み取る能力を買ってるんだよね」 「へ?」 「俺の気持ちを一番に気付くのはカオルだと信じてんだよね。その夢を自ら壊す真似なんてすると思う? という訳で、俺からカオルに話す気はない」  にっこり笑みを浮かべて、カオルに伝えた気持ちに偽りはない。  他人の気持ちを汲み取る能力が人一倍長けているカオルに、俺の恋心を見破られたとしてもカオルらしいなとしか思わない自信がある。だからと言って、自らカオルに語る気は更々ない。 「なっ……! ハル、ズルい!! 俺のことを入れ込むほどに真実が見えにくくなるタイプって、ついさっき言ってた癖にー!!」 「よく覚えてるな」 「さすがに俺でも覚えてるよ!!」  というか、何で厄介な相手にわざわざ俺から語ると思うかな。まぁ、カオル自らが気付く時には、真実が見るほどには冷静な判断が戻って来る頃合いだとは思ってるけど。
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