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「おはよー! りっちゃん、ルーくん!」
我が佐々木(ささき)家の玄関を開けて、一番初めに目に入るのはお向かいに住んでいる篠原(しのはら)家の美形姉弟。篠原家の双子である『りっちゃん』こと香(かおり)ちゃんと『ルーくん』こと薫(かおる)くんに挨拶することから、私の朝はスタートすると言っても過言ではないだろう。
「……おはよ、リナ」
「相変わらず、リナは朝からテンション高いねえ……」
「りっちゃんとルーくんが朝に弱すぎなだけで、私なんて普通だよ。普通」
幼なじみとして長年一緒に過ごしてきた中で、りっちゃんとルーくんがあまり朝を得意としていないことは理解している。それでも、軽口を叩いてしまうのも、朝からバカなことを言ってしまうのも、二人が気を許した存在だからに他ないだろう。とはいえ……。
「…………リナ、それはハルを見ても言える訳?」
「えーっ、と……」
りっちゃんに言われて振り向くと、眠たそうな目をこすりつつ、お隣の酒井(さかい)家から『ハル』こと春彦(はるひこ)くんが玄関先で既に力尽きかけている。それもそのはず、ハルはりっちゃんとルーくん以上に朝を苦手としているのだから。
「ハル、おい。……起きてるか?」
「……」
「とりあえず、ハル。まっすぐ歩いて、そして事故だけしなければ、それでいいから。カオル、ハルをしっかり見ててよ?」
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