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俺の絶叫を聞いた、リナたち三人は目を丸くした後、一斉にケタケタと笑い始める。
「あははは! 確かに! これも愛の叫びだよね!! まさかのハルが、愛について叫んでるよ!!」
「てか、さすがハルね。一枚も二枚も上手ね!!」
「もう、二人とも笑い過ぎー! ハルの叫び、私の願いをキチンとクリア出来てるからこそ、激しく悔しい!!」
確かに、騙した感じがしなくもないが、義理はキチンと果たしたつもりだ。ブーたれながら、文句を述べるリナに向かって伝えることは一つだけ。
「てか、リナ。満足しただろ? もう、二人に強要するなよー」
「むー……。分かったよー、ハル」
好きな子が無理やり叫ぶ愛の叫びほど、聞きたくないものもないだろう。
だからこそどうしてもリナにこの話題を引っ込めてもらいたかったからこそ、強硬策を講じてみた。少々強引だと思いつつも、俺なりの答えを叫んだみた。
「おおお! ハル、さらりとイケメンな行動するね!」
「確かに、今日のハルはイケメンだ」
イケメンと言われて悪い気はしない。好きな子に言われるなら、尚のこと。だけど、さすがに『今日の』という言葉が付いてると、食いつきたいものもある訳で。
「ちょっと待って、カオリ。いつもの俺は、何だと言いたいんだ?」
「うーん、……フツメン?」
「いや、地味に真面目に返さなくていいから!」
「冗談だって、いつもハルはイケメンだよ!」
「別に今更、取り繕わなくていいから」
「ホントだって、ハルはイケメンだよー!」
ワイワイ騒ぐ四人の未来がどうなるかなんて、俺にはまだ分からない。
だけど、未来は明るいと信じることが出来るのは、君と一緒に過ごす日々の延長戦である事実だけを支えにし続けているからだろう。
【Fin.】
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