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そう言って、右手を頭に当てている私に向けて、りっちゃんは一瞬渋い顔をし、呟いた。
「分かったわよ、リナ。……あとで、それは私がやってあげるから」
だから、とりあえず学校に行きましょ? そう言って、りっちゃんは私の右手をナチュラルに握って来る。
「あー! カオリ、ずるい! 俺もハルよりリナの方がいい!」
「何、馬鹿なこと言ってるの! カオルが悪いんでしょ、全て」
ギャーギャー言いながら、今日も変わらず過ごす通学路は輝いて見える。
物心付く前から、四人で一緒が当たり前だった。そして、それは高校生になっても変わることなく続いていた。だからこそ、この関係に終わりが来るなんて思ってもいなかった。
正確には、思いたくもなかった。という表現の方が、正しいのかもしれない。
思いたくないからこそ、頭に浮かぶことさえなかった訳で……。私は今日も、平気で愛を叫んでいた訳なのです。
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