愛は叫ばなければ伝わらない * side Rina Sasaki.

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*** 「ったく、相変わらずアレは何考えてんだか」 「まぁまぁ、そんなにカリカリするほどのことでも……」  教室に到着し、テキパキと私の髪を直していく一連の流れは今日も鮮やかで、りっちゃんの熟練の技としか言いようがないほどの腕前にただただ見惚れてしまう。  学校では私とりっちゃんがA組、ルーくんとハルがB組で別れているため、A組の教室内は基本ルーくんとハルの領域外スペースとなっている。そのため、ルーくんの追撃を恐れることなく、りっちゃんに髪を整えてもらえる訳で。 「ってかさ、リナ。随分と上手くなったよね、髪をまとめるの」 「ほ、ほんと!?」 「本当だよ。前はカオルがぐしゃぐしゃにしたら、見るも無残な状況のままだったけどさ。今は、手櫛で整えてまとめた姿でもナチュラル風のオシャレヘアに見えるほどになったしさ」  そう言いつつ、りっちゃんは私の髪を手早く綺麗に整えていく。そして、ポケットから取り出したミラーを、私にそっと渡してくる。 「でも、リナが好きな髪型の条件は『ナチュラル感』じゃなくて『カッチリ感』だよね?」  鏡の中に写る私の姿は、りっちゃんが言った通りの『カッチリ感』を大事にした髪型に、思わず声を弾ませてしまう。 「……! さすが、りっちゃん!! 私の好みを熟知した完璧なヘアスタイルー!!」
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