愛は叫ばなければ伝わらない * side Rina Sasaki.

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 りっちゃんが本日セットしてくれたヘアスタイルは、後れ毛一つ取りこぼさない、カッチリとしたポニーテール。後れ毛なしで、なおかつキチッと髪をまとめることは、どこそこ詰めが甘くなってしまう私は苦手としている。だからこそ、りっちゃんにパリッとしたヘアスタイルをセットしてもらうとテンションが無条件に上がってくる。 「ん、これじゃあ安すぎるけどさ。片割れの不祥事のお詫びだよ」 「そんなことないよ! むしろ、こんな立派なヘアスタイルにしてもらってラッキーかも!」  苦手だから日々セットできないだけで、諦めている自分の好みの髪型を急遽してもらえれば、自ずと気分が上昇するのは、当たり前の感情ではないだろうか。私が、キャッキャッとはしゃいで鏡を見ている横で、りっちゃんは満足そうな笑みを浮かべている。  その笑みに含まれた、本当の意味を知らない私はただただご満悦な表情を浮かべていた。 「そろそろ、先生も来るかな?」 「そうだね! りっちゃん、ありがと! 大好きー!」
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