2人が本棚に入れています
本棚に追加
息切れを起こしながら、深く息を吐く。
まだ足と手が震えている。
生きるために、これからこれを何度も繰り返さなきゃいけないと思うと、膝を抱えて泣きたくなる。
今まで万引きなんてものもしたことはない。
自分で言うのもなんだけど、私はいい子でいた。
そのせいなのかわからないけど、ちょっとでも悪いと思うことをすると、とてつもなく心が痛くなる。
うつむいている私の脚を、先ほどのようにトトがぽふぽふしてくる。
「あぁ……ごめんねトト。おなかすいてるんだよね……」
ポケットから猫缶を一つ取り出して開ける。
そのまま地面に置くと、トトは勢いよく食べ始めた。
それを見て、少しおなかのすいてきた私は、手に持っているパンを見つめる。
……うじうじ悩んでられないもんね。
そう思うことにして、私はパンを一つ開けて口に運んだ。
時のない世界から、状況を説明します。
盗みをしないと、生きられないことが判明しました。
今後の予定はなし。とりあえずは、今のこの罪悪感になれることが当面の目標になりそうです。
「はぁ……大丈夫かなぁ……」
不安は大きいです……。
最初のコメントを投稿しよう!