第2章

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「とりあえず、この道を進んでいけばいいんですよね」 「あ、あぁ・・・何があるかわからない、慎重に行こう」 再び剣を構え直し森を進んでいく。 奥に進むにつれ、昼間とは思えないほどの暗さになっていった。 風もなく、俺とイゾラの歩く音だけが虚しく響きわたる。 「ターリス、暗くて前が見えないから光ってくれるか?」 「おっけーだよ!」 するとターリスが光り出し暗闇を照らす。 これでだいぶ周りがみれるようになった。 「便利だな・・・」 イゾラは未だに機械だと信じられないのか、ターリスを薄目で見ている。 その後だいぶ真っ直ぐ道を進んでいたが、景色は一向に変わる気配がない。 流石に心配になり、一旦確認をしようと立ち止まったその瞬間。 「あれは・・・街か・・・?」 イゾラが正面を見てそう言う。 つられてイゾラの視線の先を見ると、木々の隙間の先に街並がうっすらと見えている。 「街っぽいですね! 行ってみましょう!」 早歩きでその方向へ向かうと、徐々に街並がハッキリと見えてくる。 森の出口に到着すると、そこには入口のところと同じ看板が立っていた。 街の雰囲気をみて、さっきと全然違うことがある。 人がいないのは同じだが、あらゆる所に人形が置いてあるのだ。 家の窓からこちらを覗く人形。 街の休憩するベンチに座る人形。 道に横たわる人形。 多種多様な人形達が、来訪者を喜ぶかのような不気味な笑顔で出迎えていたのだ。 その異様な光景に思わず後ずさりしてしまう。 「これは・・・」 「聞いたことがある・・・七不思議の一つともされている、動く人形の話。たくさんある人形の中に一つだけ命を宿したように動き出すものがあるらしい」
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