第2章

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絶体絶命だ。 こちらに武器がなくなってしまったのだ。 ただでさえ通用しない相手なのに、これで勝率がゼロになったに等しい。 「僕ちんのお客さんの為に出血大サービス!」 3本の剣を観客席に投げ、それぞれがカクカクと動く人形の頭に突き刺さる。 そして俺の剣を構えてピョンピョン跳ねている。 「死にさえしなければ大丈夫! 指、手首、足首、腕、脚くらいなら持ってっても怒られないよね!」 ギャァヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!と耳がおかしくなりそうな奇声を上げながらそれはこちらにやってきた。 「ルト! これを使いなさい!」 振り向くと後ろから剣を投げるイゾラがいた。 イゾラが買って持っていた剣が俺の手前に突き刺さる。 「ありがとう!」 それをすぐ手に取り、間一髪のところで相手の剣を受け止めた。 「ぐぅ・・っ」 やはり普通の剣だと衝撃がすごい。 麻痺しそうになる腕を必死に奮い立たせなんとか持ちこたえる。 「あれ、僕ちんの予定が狂っちゃった、いつもここで終わるのに。まぁでもすぐ終わるよね」 するとターリスのスキャンが完了したのか、腕を曲げた肘から何かを打ち出す。 それは銃弾だろうか。 どこに向けて撃ったのか、それは俺とディレットを通り過ぎて何かに着弾する。 「え・・・?」 その弾道の先にいたものは・・・ 「イゾラ・・・さん・・?」 イゾラの右腕は機械のように変形し、大きな刃物になっていた。 そしてあろうことかその刃物で俺に斬りかかろうとしていたのだ。 イゾラの頭に銃弾が着弾し、音を立てて崩れ落ちる。 「ギャァヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! 七不思議は最初から君を見ていたんだ!」 不気味に笑うと俺から距離を取るディレット。 「でもまさか、ここまで生き延びるなんて・・・なんて幸運なんだろう。僕ちんもびっくり」
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