第2章

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「ただのまぐれだ! もう一回頼む!」 先程と同様の銃声が響く。 しかし結果は変わらず、ナイフでいとも簡単に銃弾を弾いてしまった。 相手の動体視力は飛んでくる銃弾を見切るほど。 ならばこちらは動きを変えるまでだ。 「俺があいつを引きつけるから、ターリスはその隙に裏に回ってあれを撃ってくれ」 ターリスはあれを見つめると、頷く。 「わかった!」 ターリスは上昇すると相手の動きを見つめ、裏を取るチャンスを探り始める。 それを確認した俺は相手を睨みつけ、地面に突き刺さったナイフを抜く。 「そういや、これだって立派な武器じゃないか」 「僕ちんみたいに上手く投げれるの?」 ディレットは観客席の人形から3本のナイフを受け取ると、一本ずつ確実に俺を目掛けて投げつける。 1本目をナイフで弾き、2本目を避け、3本目を掴み取る。 計2本のナイフを相手に目掛けて目一杯に投げる。 それはしっかりとディレットに向かっていくが、もちろんそれを簡単に避けて隣の空中ブランコに飛び移る。 「そんなの当たんないよ! そして妖精さんも僕ちんを狙っているみたいだけど無駄だよ!」 そう。 ディレットはしっかりとターリスの動きもマークしていたのだ。 だが、それでいい。 それで“作戦通り”なのだ。 ターリスとディレットの間には俺の投げた2本のナイフ。 「ここと・・・ここ!」 二度放たれた銃弾はナイフを弾き、それぞれが違う方向に飛び散った。 「ギャ!?」 ディレットの足へと向かう銃弾。 逃げようと隣の空中ブランコに移ろうとするが、そこには弾かれたナイフ。 “弾く”ではなく“避ける”という行動を選択した中で、空中ブランコという逃げ場を失ったディレットが取る行動は一つ。 それは・・・ 「もらった」 “地上に落ちる” その先にはダッシュで間合いを詰めた俺が剣を振り上げている。 「そそそそんな! 僕ちんが・・・」 最後の悪あがきか、ディレットは足を庇うように態勢を変える。 しかしこんなチャンスで足を狙うはずもない。 俺の振り下ろした剣は相手の腹を斬り裂いた。 「ギャアアアアアアアアアアア!」
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