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 罰だろうか。私が彼女のかくれんぼから逃げたことを怒っているのだろうか。だが、彼女――ハナは笑っている。裂けんばかりに笑みを作って。  後ずさる。  膝が震え、強く握ったランタンが微かに揺れた。それを見て、ハナはケタケタと声をあげた。奇妙な音だった。 「オネーチャンオネーチャン」  小さな子供から、黒く響くがらがら声。  そして、かのメガホンは鳴った。オレンジ色のメロディーが、誰もいない商店街を隅々まで巡視する。 「ミツケタァァア!!!!」  声にならない、声を出す。私か、ハナからかは分からないがとにかく走った。  奇声は嫌に響いた。絶えずに後ろを付いてきている。  曲がっても曲がっても消えない。商店街の奥へ、さらに奥へと走った。けたたましい絶望に視界が滲んだ時、私は本当の恐ろしさに気づく。  先に道が無い。  力なく叩いたフェンスは、虚しく鳴いた。
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