意地っ張りと、絵のモデル

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 百井君と関わりたい理由――〝友達(仮)〟の〝仮〟が取れて、ちゃんと友達。  教室では常に一匹狼の雰囲気を纏う彼が、わたしと同じようにこれからもわたしと関わろうとしてくれている気持ちに名前を付けるなら、きっとこれだと思う。 「じゃあ、ちょっと亜瑚のところの洗濯機貸してもらってくるね」 「コケんなよ」 「うん!」  代わって外してもらったチョコレート色のカーテンを胸に抱き、意気揚々と旧校舎の廊下を進みながら。わたしの胸は、空を飛べそうなくらい、ふわふわと軽かった。
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