誰のとなり、きみのとなり

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「ううん。今、図書室に行ってるの。写真家の写真集とか、カメラワークとか、そういう資料を探したいんだって。もうじき戻ってくると思うよ」 「あ、そうなんですね」  どうやら違ったらしい。 「で、モモちゃんのほうは? 今日はどうしたの?」 「ああ、そろそろコンクール用の写真を撮りはじめなきゃなーと思って。特に理由はないんですけど、急に時間もできちゃったものですから、久しぶりに足を向けてみようかなーって。ほら、あんまり顔を出さないでいると、さすがに申し訳なくて」  聞かれて、ここまで来る間に考えた理由を説明していく。  本当は旧校舎の美術室で百井君と実結先輩がどんな話をしているかや、ふたりの関係が気になってしまい、なかなか学校を出られないだけなんだけれど。それを美遥先輩に説明するには、どこから話したらいいのやら、という感じで。  家に帰っても父がいるし、当たり障りない理由を考えたら、これになった。  ここで写真部の活動内容をざっと説明しておくと、校内行事のときの生徒の撮影、写真コンクール用の写真の撮影、卒業アルバムや学校紹介のパンフレットに写真を提供する、の三つだ。というか、それ以外には、これといってないと言ってもいい。
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