極恐ヤンキーの純情事情と、わたしの事情

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極恐ヤンキーの純情事情と、わたしの事情

「っっ。ぃったー……」  放課後、担任に頼まれたプリントのホチキス止めをしていると、窓から急に吹き込んできた風でそれが空中に舞い上がった。あ、と思うのと同時に腰を上げると、つま先が椅子の脚に引っかかって床に膝をしこたま打ち付けてしまった。  と同時に、とっさに掴まった隣の机の中身がプリントの上にドサリと落ちる。 「――ああもう……」  トドメを刺されたような気分とは、このことかもしれない。  あまり早い時間に家に帰りたくなくて適当に教室で時間を潰していたら、ちょうど通りかかった担任に雑用を頼まれ。もう少しだったとはいえプリントが風であおられバラバラになり。おまけに掴まった机からトドメの一発を食らうなんて。  今朝の星座占いは六位と可もなく不可もない順位だったのに、一日の大半を終えたタイミングで不運が続くとは、今日は本当はわたしだけ最下位なのかもしれない。  仕方なく落ちたそれを拾い、机の中を覗いてみる。 「あれ、これしか入ってない……」  でも清々しいほどすっからかんだ。この机の持ち主のイメージからすると、テスト前になっても置き勉をしそうな気がするけれど。こうもすっからかんだと逆に潔いというか、一周回ってイメージ通りというか――まあとにかく怖い。
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