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捨てたのは(悲恋)
私は、深く愛していた筈の君を捨てた。
君にすぐ会えるように君の近くに住んだ。
君の為にいつも予定を空けた。
君に会うためのお金はいつも用意していた。
いつだって、君の事を想って、君を中心に生きてきた。
でも、無理だった。
私には君を愛しきれなかった。
君を信じられなかった。
「お前はちゃんと彼女だよ」
君は何度も私に云った。
私はその言葉だけを信じていようとした。
それでも。
私には君を信じられる程の強さはなかった。
君の言動1つ1つが、私を酷く不安にさせた。
どれもが、私を不安にさせるのには十分だった。
長年、君の彼女と言う存在で生きて。
ずっとそれが続くのだと信じていた。
君の隣はずっと私なのだと信じていたかった。
けれど、それを壊したのは、他ならぬ私自身だった。
君のしてくれないこと。
君の云ってくれないこと。
君の見せてくれないこと。
それらを私にくれる人に出会ってしまった。
不安さえ拭ってくれる人。
汚い私は、そちらを選んだ。
君を傷付けることを選んだ。
私は、私のことだけを考えた。
きっと、君はもう私のことなんか忘れて日々を楽しんでいるんだろうけれど。
もし、まだ私を覚えていたのなら。
どうかこんな汚くて卑怯な私のことなんか忘れてほしい。
君の記憶から消し去って。
君の中から私と言う存在を消して。
居なかった存在にしてほしい。
何処までも。
汚くて醜い卑怯な、私の願い。
捨てたのは
(醜い私は、君を信じてあげられなかっただけ)
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